頼るなら

「おいでおいでー」
 私は白い獣のオウリンを招き、いつものようにじゃれあった。
 最近は、シュラとリキもそれを見て、こっちも構えとか言ってはこない。再会のあとはちょっとぎくしゃくしたけど、いつの間にやらまた甘えてしまっている私がいる。さすがに抱きついたりはしていない。
「あなたたちって甘やかし上手だよねー、つられてしまうよ」
 私はシュラとリキを振り向いて、うふふと笑った。
「そうか?」
 シュラは自覚がないのか不思議そうな顔をする。
「うん、甘えるならリキ、泣きつくならシュラだな」
 照れ隠しにちょっと視線を逸らしながら私は言った。
「それで、悩みを聞いてほしいときはレイ」
「待て」
「それなんか次元が違わないか」
 そこに噛み付くのかシュラとリキ。気づかなくていいのにねえ、と思いながら、私は正直に答えた。
「だってふたりとも、私がなにやったって許しそうなんだもの」
 感情をぶつけるなら相手はシュラとリキだけど、諭してほしいときとかはレイじゃないと駄目な気がする。レイは私になにも強要しないけど、私が考えるように導いてくれると思うのだ。
「……それじゃいけないのか」
 シュラとリキは自分のやり方を振り返る。
 だ、だめなんじゃないですか。


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