君の名前2

「スモモという名にはどういう意味があるんだ?」
 疑問に思ったらしく、シュラに尋ねられた。
「果実の名前だよ。小ぶりで甘酸っぱいの」
「そうか」とシュラは微笑する。
「シュラは闘いっていう意味があるよ。リキは力とか腕力の意味かな」
「おれの名にも意味があるのか?」
「レイ? レイは、えっと、冷たい?」
 思わず反射で答えると、レイは無表情になってしまった。
「……冷たい」
「えー、うわ、ごめん!」
 言うにことかいて冷たいって! レイってほかにもっとましな漢字があるだろう、と思ったけど、最初にそれが思い浮かんだのは、きっと初対面のときちょっと冷ややかだったからだな。あのときのレイは、私が怯えたと思ったんだ。私に拒絶されたと思って頑なだったんだ。それから私は、他の言葉に思いあたった。
――ああ、そうだレイ、私の国の言葉じゃないけど、他にも意味があるよ」
 私はにっこりとレイに笑いかけた。
「ひかり」
 そう、私を包み込んでくれる、日ざしのようなひかり。私を導いてくれる、ひかり。
 そう告げると、レイの表情は見る間に柔らかくなって、それを見ている私まで幸せな気分になった。
 しかしそこにソルトが割り込んできて、余計な口を挟む。
「じゃあ、おれは?」
「塩」
 正直に答えてやったのに、ソルトは次の日まで口を利いてくれなかった。


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