魔の生態

「レイって、いつから魔王様なの?」
 ふと疑問に思って、私はシュラとリキに尋ねてみた。
「生まれたときから陛下は陛下だが」
「え、そうなの? 王位を巡って死闘を繰り広げたりしたのかと思ってた」
 だってこういう場合、そんなパターンがあったりするんじゃないのか。魔人の生態はまだまだわかりにくいな。
「おれたちが陛下に従うのは本能のようなものだ。第一、下手に権力が分散して争いを始めるとおれたち自身弱体化するだけだからな」
「なんで? 自分たちの勢力を大きくすればいいんじゃないの」
「それはできない。魔の絶対数は決まっている」
「ええ?」
 話を聞いてみると、魔の数っていうのは決まっていて、一個体が死ぬと、一個体が生まれる、という摂理になっているらしい。それは魔王も同様で、現王が死なないと次の王が生まれないし、王を殺したところで成り代われるわけではないようだ。だから権力争いがない。生まれたときから、王への絶対忠誠を本能で強いられている。
 ――それは、寂しいかもしれない。
 レイが私を受け入れた理由。
 レイには私のあの無礼さが嬉しかったんだな、となんとなく思った。


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