あたしのとなり。

side Soh

平行線の終焉

「おはよ」
 あたしは前を歩く勝輝ちゃんに声をかけた。あたしから話しかけるのは久しぶりだ。
 振り向いた勝輝ちゃんは、思ったとおり優しい顔で返事をした。いつも通りの態度がなんだかずるい。あたしたちは学校に向かって、並んで歩き出した。
「あのさ、考えたんだけど」
 あたしはちょっとどきどきしている。これは言わなくてはいけない。勝輝ちゃんが、あたしの方を見る。
「あたしやっぱり、いまのままがいい。距離はとらない。でも、いままでと同じ関係じゃなくて、ちょっと変えたい」
「変える?」
「うん。あたし、自分ばっかりカツキちゃんによっかかってるのってやだ。だから、お互い様って関係にしない?」
「うん」
 やっぱり優しい声で勝輝ちゃんは返事をした。こころなしか、嬉しそうに見える。
「それとさあ、好きにならなくてもいい、ってやっぱり卑怯だよカツキちゃん」
 さあ正念場だ。言ってしまえ!
「だからね、ずっとあたしの隣にいて。自分の気持ちまだよくわかってないけど、でも、あたしの隣はカツキちゃんじゃなきゃやだ。彼氏なんか、つくんないから」
 もう、平行線はやめにしよう。


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