あたしの大事な幼なじみ。

side Soh

視線の先

 彼と彼は無愛想コンビと呼ばれている。無愛想1号不良くんと、無愛想2号の真面目くんだ。いまあたしの隣にいるのは2号。
 あたしと勝輝かつきちゃんは幼なじみだ。我ながら我侭だと思うあたしに、よくぞ付き合ってくれてると思う。当然のようにあたしはなにかをさせていて、勝輝ちゃんはしてくれて。
 それでいいのかな、と最近思う。
 意地っ張りなあたしは自分からは聞けない。この無愛想野郎め。せめて顔に出るならわかるのにな。
 あたしは隣を歩く勝輝ちゃんの顔を見上げた。
「あ、水嶋だ」
 そう呟いた勝輝ちゃんは、前方にいる少女を見ていた。
 小柄で黒髪ストレート、おっとり系の女の子。誰だ。
 勝輝ちゃんの部活仲間ではないと思う。彼は男子柔道部員だし、百歩譲って女子部員だとしても彼女は明らかにそういう体格ではない。
 勝輝ちゃんがあからさまに女の子に興味を見せるなんて珍しい。ああいう子が好きなのかな、と思った。勝輝ちゃんは世話焼きさんだから。
 ちりっと胸が痛んだ。
 その感情に、あたしは気づかないふりをした。
 大丈夫、あたしたちのこの関係は壊れたりしない。


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