そんなところが好きだけど。
彼の事情2
つきちゃんは素直じゃない。意地っ張りで天邪鬼で負けず嫌いで。それで毎回自分が損してるってところ、彼女らしくて可愛くって仕方がない。
ティータイム中にぼけっと考えていると、つきちゃんに怒られた。
「ちょっと、二の字。聞いてるの?」
「ねえ、つきちゃん。そろそろ菊二って呼びなよ」
「二の字」
「菊二」
「二の字っ」
「呼ぶの」
じらされて僕はちょっといらいらした。促すように言うと、
「――絶対、やだっ!」
つきちゃんは顔を真っ赤にして怒った。まったく、素直じゃない。
諦めるか。惚れたが最後だ。
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novel
2005 11 07